椅子の理論:井上希道[健康談話]
正しい姿勢は幸せの基礎
良い姿勢は心身が健康な証拠です。その人は立っていても、坐っていても、歩いていても、語っても笑っても誰が見ても、全体がとにかく美しいのです。精神の流れも良く、決断力も大きいのです。
美しい方が良いに決まっていますし、心身の健康は全人類の願いです。とにかく良い姿勢は健康で美しいのです。それだけでもその人は大変幸せなのです。
良い姿勢とは:骨格がスタンダードであること
我々人間には、約二百個(3~5ケの個人差があり、成長に伴って変化するそうです)の骨格を中心に形作られています。それらの骨を腱で繋ぎ、そして筋肉で包むようにして各部位が組織されています。それらは脳に於いて全てがコントロールされ機能します。(ここで精神と肉体は双方向に大層影響し合います。) 従って健全に機能するには、大原則として各骨と、それに関連している腱も筋肉も有るべきスタンダードな状態でなくてはなりません。これらが全て限界内に於いてバランス良く、自在に作用しているのが自然であり健康体というわけです。これを妨げる姿勢が健康を害する悪い体癖というわけです。これは絶対に治さねばなりませんし、悪癖を付けたらその人は自然に健康を害すると言うことも知っておいてください。 従って、こうした本来の健康体は、働いても何をしても快活だし、心地よい疲労感は却って爽快感や充足感を伴います。心地よい空腹感は何を食べても美味しいし、勿論快適な睡眠と排便は言うに及ばずです。 つまり良い姿勢とは、本来のこの様子を言うわけです。大切なことは姿勢として悪癖を付けないように心掛けることです。
不自然な姿勢はどうして起こるのか?
天然に背負ってしまったハンディは、厳しい運命とでしか言い様はないのです。が、そうではなく、生活習慣により不自然になってしまい、直ぐに疲れたり、疲労回復に時間が掛かったり、一定の姿勢をしているだけで疲れてしまう身体は不幸です。勿論栄養問題、過労、寝不足等は抜きにしての話しです。 いつの間にかその様に不自然になったとすれば、その原因は普通の生活の中に在るのです。どこにその原因があるか見てみましょう。自分の生活から、自分の姿勢を良く知るということです。
大切な睡眠ですが、ベットやお布団は大丈夫ですか?
眠りから覚めるや否やその日の生活が始まります。完全に疲れが取れた、清々しい一日の始まりは良き睡眠が必須です。そのためにはフカフカなベットも蒲団も禁物です。 何故でしょうか? 日常の生活全体からは、疲れや偏り緊張は勿論、僅かながらの骨の歪みやズレが起こっているのです。それらを等を除くにはしっかり眠ることですが、案外知られていないことは、寝相を変えることでそれぞれの歪みを自動的に取っていることです。 ですから寝相の体位を変化しやすくしておかねばなりません。ですので硬いベットやそこそこの煎餅蒲団が良いのです。例え歪んだりしていなくても、フカフカベットやお布団で寝ると、抵抗が足りないために、睡眠して弛緩し切った状態は却って歪めてしまうのです。 極端ですが褥瘡(寝たきりの人に起こる尾てい骨部の腐り)が良い例です。動いて居りさえすればそのようなことは決して無いのです。寝相の変化はとても大切な自然調整作用ですから、ベットやお布団は充分に検討してください。 滑稽な言い方ですが、不安定の安定が大切なのです。この無意識行為こそが私達の安全を守ってくれる機能なので、充分に、自由に寝相が変えられるように、子供さん達の成長には特にこの点を留意して下さい。どこまでも健康に成長して欲しいからです。 寝相の悪い人は健康であり元気なのは、一晩で全てがスタンダードに復帰しているが為なのです。 姿勢の悪弊も煎餅蒲団で眠れば、自然に可成り矯正されると言うことを知っておいて下さい。逆に、ふかふか蒲団やベットは悪くなるから気をつけねばならないのです。
朝夕食のテーブルと椅子は確かな物ですか?
今日では食事の形体はテーブル式が多いようです。大人と子供が同じ高さのテーブルと椅子という訳でもないでしょうが、個々に適性かどうかです。特に高さと座部の形状が問題なのです。適正かどうかにより姿勢と食事作法、そして品性に多大な影響があります。精神にも深く関係すると言うことです。 適正なテーブルの高さとは、腰掛けて背筋を伸ばし、肘より凡そ十センチくらい低めの物です。臂の高さではもう高いのです。両手の上げ下げ左右の動きが不自由となり、臂を付いて食事をするようにもなるのです。美しいマナーが修得出来ないと言うことになります。 それより高かったら、大変苦労するし楽しさも快適さも充分得ずに、単なる餌的食事となってしまいます。箸やお茶碗の持ち方も品のない扱い方にならざるを得ないのです。ここでどうしても椅子の善し悪し、健全性が問われることになるのです。 殆どの椅子は、深く掛けると腰が後ろに落ちて、それを支えようとすると腰が草臥れてしまいますし、座部の先端が裏腿を圧迫して血流を損ねます。従って腰掛けの前側にちょこんと坐らざる得ないのです。決して心地よくないので、一家団欒する精神的ゆとりが起こらないのです。 椅子掛けた時の安定感と共に、快適さが重要なのです。身体・精神の内容と姿勢にとても大きく関係していることに、殆ど気が付いていないから、おおよそ皆不自然な椅子なのです。椅子は高さも奥行きも形状も大いに問題なのです。テーブルはそれに合わせて設えるべきなのです。姿勢を悪くしないために。 このように身体環境としての適正な椅子及びテーブルによって可成り快適な朝食となり、充実感も満足感も自然に得られるのです。
勉強やデスクワークの椅子は大丈夫ですか?
朝食を含めた朝の所要時間は、一日単位から見ますとほんの僅かです。それからの多くは仕事か勉強です。特に勉強と事務系の仕事は腰掛けてします。ここが大問題です。姿勢を悪くするのは長時間腰掛けている時に起こるのです。何故でしょうか? 大抵の椅子はフラットかギブスのようにお尻をはめ込む形状です。坐った瞬間はとても安定していて心地よい物です。つまり、今までの椅子とかソファーに対する要求というか目的は、ゆったりと身体全体を任せてリラックスしくつろぐための、癒し機能を追究した物です。中には豪華で威厳を強調した物まで有り、それらの目的は充分に達した優れものばかりです。 ここで間違えてはならないのは、くつろぎと勉強や仕事とは本質的に目的が違うということです。つまり身体と椅子の機能との関係性に就いて観察が不充分なため、この大切なポイントの違いが自覚出来なかったのです。 誤っているのは、この癒しの快適性を勉強や仕事に使おうとしていることです。ですから既成の椅子は、ゆったりと坐った瞬間は実に快適ですが、短時間ならともかく長時間坐っていると、訳もなく草臥れてしまう構造なのです。要するに長時間使用は姿勢が悪くなり、知らず知らず不健康に成るのです。仕事や勉強の体勢に対して、不適正な構造をしていると言うことです。 本質的にサイエンスして、人体機能と目的に就いて究明し、それらにマッチした健全な椅子とは如何なるものかを究めた物でなければ不健康になるということです。本当に健全な椅子であるなら、勉強姿も仕事姿も、そして豊かさを満喫する食事姿も、最高に美しくて爽快感がなくてはなりません。あなたの椅子は大丈夫ですか?
歩行と姿勢と健康
勉強や仕事についで生活上に多いのは歩行でしょうか。二足歩行を可能にして人間になったことから、歩行は最も基本動作であり、立ち姿は公私にわたって生活の根本です。姿勢の良い歩き方には品格と共に深く高い文化性を感じさせますし、品性の中の美は、静かに官能を満たしてもくれます。姿勢よろしく健康な人は、疲れにくいし適度の歩行は疲れを取り、快適さや爽快感をもたらせてくれるのです。 それは何故でしょうか? 歩行は重心が左右に移動しています。そのためほんの僅かですが、骨盤、脊柱、頸椎等の各骨が絶えず動いていて、それに付随した筋肉と腱は弛緩と緊張を繰り返しているのです。それによって偏り疲労も偏り緊張も逐次ほぐされ、歪みや捻れなどを治す要因でもあるのです。だから軽く動いた方が疲労回復には有効なのです。 即ちじっとしていることは不健康の本と言う大原則があるのです。統一性の高い色々な動きが、最もバランス調整には良いのです。バランス調整のしっかり利いた身体は、動きながら疲労を除去して蓄積させないと言うことです。これが自然治癒力の原点なのです。 不自然な姿勢で歩き続けたり座り続けると、少しずつ全体のバランスが崩れ、本当の健康ではなくなっていくのです。姿勢は健康のバロメーターであり、精神の質と密接な関係にあるのです。 肥満系の歩行は、全身で歩いてはおらず、足も爪先も屈伸が利いていません。ですから軽やかさも躍動感も無いのです。こうなると、排泄系が鈍り、余分な物を貯め込んでしまうのです。どたどた、ペタペタとした歩き方は健康には大敵なのです。 精神統一をし、姿勢正しく一歩一歩を心掛けるならば、腰も引き締まり、全体として整い初め、躍動感も現れてきて、次第に排泄系が良く機能するようになり、自然に肥満も解消するのです。 とにかく姿勢正しく歩いている人は、心身が健やかでありとても美しいので、見ていても気持ちが良いものです。不自然な姿勢は、事故とかではない限り、生活の中の何処かで引き起こしているのですから、もう一度自分の一日の、生活全般を点検してみては如何でしょうか。悪い体癖は改めるべきですから。
姿勢と椅子
何と言おうと自然であることが一番抵抗も負荷も少なくて良いのです。とわ申せ、不自然に癖付いた姿勢はそれが自然ですから、それが一番良いとは絶対に言えません。それは何らかの努力をし、もしくは訂正への要因を与えて正す必要があります。或る種の矯正がいると言うことです。大切な人生ですから。人生には健康が何より大切だと言うことです。 一日で最も長い時間を過ごす勉強とか事務系の場合は、文句なく椅子が肝腎な要素と言えます。それはくつろぎではなく、頭脳と両手を駆使しての作業であり、目的に向かっての挑戦なのです。その場合の椅子は、そのための身体を支えている大切な分身であり場なのです。着席した途端に精神統一出来れば、それだけ勉強も仕事も効率と精度は高くなります。身体全体が不自然のない姿勢であれば、長時間の作業にも容易に処していけるのは当然です。 また何れの姿勢であれ状態であれ、必ず限界があります。時間経過と共に疲労は避けられません。けれども、僅かな体重移動と姿勢変化により、疲労を貯めることなく解消しながら作業が出来れば、これ程効率的なことはないのです。そう思いませんか? そんな椅子が理想なのです。
[理想的な椅子の条件とは]
まとめると次のようになります。
- 1,坐った瞬間、姿勢(骨盤、脊柱、頸椎)が自然に真っ直ぐに伸びるもの。
- 2,座部の先端が絶対に裏腿を圧迫しないもの。
- 3,深く腰掛けて背もたれに充分当たったとき、座部と膝裏との空きが拳ほど 余裕があるもの。
- 4,両足がやや斜め前でしっかり床に付いている高さのもの。
- 5,背もたれが腰椎の二、三番(ウエスト)にぴったりと当たるもの。
- 6,足を前後左右に動かすことにより、簡単に、ほんの僅かでも体重移動が可能なもの。即ち座部の形状がドーム型であり、重点部が最も高くなっていること。
以上の条件を満たした椅子であれば、あなたは今から未来が明るく開けていくのです。 何故でしょうか? 自然に背筋が伸び、骨盤が前後左右に動いて体重移動することにより、特定箇所の偏り緊張や疲労を除去するのです。何時間も平然と正坐している禅僧達は、気付かれないようにそっと重心移動をしているのです。禅僧が長命なのは姿勢が良いからでもあるのです。 この椅子はこうした自然調整機能を活発化させて、疲れにくいだけでなく不自然な癖を付けないことと、更には半強制的に自然な状態に戻す矯正作用が有るのです。健康にはこの事が実に大切な働きなのです。ところがこの事を理解している人は希なのです。 裏腿の圧迫は血流を妨げ、循環器系の不健全をもたらせますので、不健康の本です。この事は座り心地に絶大の関係が有り、裏腿が当たっていると絶対に長く坐っては居られません。これを解消する事は健康作りの基本であると同時に、正しい姿勢は精神が非常に安定していて、知・情・意が統一している状態にあります。 即ち、つまらない意識や感情などが静まった状態ですから、すっきりしていて気持ちが良く、集中力は高く決断力にも創造性にも協調性にも富んでいる、まことに質の高い精神状態だと言うことです。 つまり禅僧が坐禅しているように、自然に背筋が凛とするような椅子が、仕事や勉強するには理想なのです。即ち、体重が掛かるお尻部分が緩やかなドーム型をしていることがポイントです。それに坐れば自然に背筋が凛とし、美しく健康的な本来の姿勢となるからです。 自然に良い姿勢であれば最高です。そして自然に疲れを解消除去できる椅子が理想条件の一つです。それには体重移動が必須ですから、ドーム型が理想的な形状であると言うことです。つまり自然に体重移動が出来るからです。 ここが従来型と決定的に異なる点であり、人体構造学的に言って発想の着眼点が全く違う健康理論からの椅子と言うことです。 腰掛けたら重心は脊柱の真下に有ります。勉強や仕事となるとほんの少し前に傾き、重心がそれだけ移動します。当然ながらこの時少し斜めで床にピッタリと密着している両足にも体重が掛かり、だから腰の負担が少なく、三点で上体を支えているので絶対安定しているのです。 最も不安定な形状のドーム型であることが、じつは長時間対応に最も適した構造なのです。これが身体全体を最も安定させている理由であり、自然に足が動き、自然に疲れが取れるのです。何故なら、足が前後すればほんの少しだが骨盤が動き、重心が移動するからです。 つまり骨盤、脊柱、頸椎が一連の作用として全体稼働して偏り疲労や緊張、そして捻れも歪みも解いてくれるという構造学的な生理作用があるからです。 いずれ時間経過と共に疲れが出ます。その時、後ろに大きく仰け反ると良いのです。その為の適正位置である腰椎の二,三番に当たっていることが大切なのです。やってご覧なさい。気持ちが良いですよ! これはとにかく安息用とは逆で、緊張型であり勉強・仕事用の椅子だということをお忘れなく。勉強や仕事用に究められた椅子なのです。このことを間違えないように、健全な椅子とは如何なる物かを、充分に理解して下さると嬉しいです。
椅子と精神
今、椅子坐禅が流行っています。心の向上浄化のためであり、日々の精神的疲れ、即ちストレスや不安感解消とか心の安定確保などの目的です。この時でも、より坐禅に近い体位が得られる椅子を選ぶことが大切です。例え坐禅であっても不適正であれば不健康になります。 子供の健全な成長と人格形成は、親の第一の願いであり祈りである筈です。健康を考え精神性を重んじての椅子選びをするならば、後ろが下がり腰が落ちる物は絶対に避けるべきです。勉強や仕事には身体力学的にも人体構造学的にも不自然だからです。況や日々成長し体癖を付け易い学童には絶対避けるべきです。市場に出回っている安価で優れものの椅子は、沢山の機能を備えていて魅力的ではありますが、この点だけはよく注意して選んで下さい。 腰が落ちた椅子は、なぜ精神に多大な悪影響が有るかです。 それは簡単な理由です。人体構造として、腰や背中や首など多くの箇所が不自然な状態だからです。 第一に、椅子に座って腰が落ちた姿勢は、後ろに仰け反るのが自然です。それに逆らって上体を前に押しだそうとすれば、それだけで腰にも背中にも首にも負荷が掛かります。それを避けようとすれば、どうしても椅子の前部分にちょこんと坐るしかないのです。非常に安定も悪く、心地も好くないのです。と言うことは疲れやすくて身体がゆったりとせず、気力が充実し難いのです。自然ではないから無理があると言うことです。 腰が抜けた姿勢自体、気力が極度に低下し、集中力もやる気も続かない状態なのです。こんな姿勢で居ると、理想や夢を描き、未来に心をときめかす余裕は生まれ難いのです。要するに良質な精神とはほど遠いと言うことです。気が付かない不快感が恒常的に存在するので、どうしても精神の安定が悪いために、人格形成に歪みが起こり易い構造だと言うことです。知・情・意の精神統一は健全な性格や人格の基礎的要素だけに、軽く見ても見逃してもならない大切なポイントなのです。 疲れ果ててきた時、よく「顎を出した」と言います。気力も体力も消耗し疲れて、上体すら思うように支えられない時、首をもたげて顎を突き出してしまう姿勢のことです。腰が落ちた状態で、仕事なり勉強なりをする位置まで上体を前に押し出すと、ちょうど顎を出した状態に近いのです。ですから小さい時からこのような椅子で生活し続けたとしたら、この姿勢が身に付いてしまいます。自然に精神の質が粗悪となり、落ち着きが無いばかりか、自信も積極性も育ち難い子供に成るのです。これは親にとってはとても心配なことです。余程気をつけなければいけないと言うことです。 要するに幼い頃より体型として悪癖を身に付けないようにしないと、なぜか訳もなく気むずかしくて乱れやすく、決断力等の乏しい散漫癖が性格化してしまいます。本当のその子の性格ではなく、姿勢や体型の悪癖による性格の歪み現象なのです。それらも不適正な椅子によって多く起こっていると言うことを御理解下さい。
お母さんの椅子選び
大切な子供さんの幸せを願わない親なんて絶対に居ません。先ず心身が健康であることです。しかしどこの親も気持ちでは確かに精一杯健康であれ、美しい心の人に成れと祈っていても、そのお子さんの生活環境全般に適正を得ていなければ決して実現を得ることは出来ないのです。 就学に当たってはせめてもの勉強机と椅子は充分に留意してあげましょう。伸び盛り成長盛りの時ですから、決して豪華な物は必要のないことで、適正を超えたら直ちに取り替えてあげることこそ愛情であり祈りの実現です。 ですから最低機能が在れば充分です。シンプルな机でよいと言うことです。「直ぐに合わなくなるからね。そうなったら直ちに新しい物を買って上げるから、今はこれで良いのよ。何時も身体にぴったりしていて坐り心地が良くて、何時も新しい方が絶対やる気も出るし快適だから。」と諭せば、子供さんはにんまりとし納得するものです。 さて、使うのは子供本人ですが、買い与えるのは親です。ここからが教養ある親として、確かな眼力を披瀝し強調する絶好の機会と言えます。 親の第一声は、「いいね。良く聞いておくのよ。正しい椅子選びをしなくてはいけないが、一番大切なポイントは、両足がしっかり床について、普通に腰掛けた瞬間に背筋がスカッと伸びる椅子。いいね。そして裏腿が余り当たらない椅子。次がね、深く腰掛けたときに、背もたれがウエスト部分にピタッと当たっている椅子。これは疲れた時、後ろに仰け反るためよ。気持ちが良くて疲れが一変に吹き飛ぶから。これなどはどうを?」と言って不適正な椅子に坐らせて、仰け反らせたらいいのです。気持ちが悪いから良くないと言うことが直ぐ分かります。 「そしてね、膝裏が椅子の先端部分から拳ほど離れている事よ。こういう具合にね。」と言って本人確認をさせることです。 「これだと足が自由に良く動き、しかも両足に少しだけだが自然に力が漲っているでしょう。これが大事なのよ。体重を支えている証拠だし、それだけ上半身が良く支えられていて安定していると言うこと。分かった?」と言いつつ、次から次に検討して確かめ尽くすことです。無ければ他のお店で探せばいいのです。多くの余分な機能に魅せられないことです。それらは殆ど無用な物ですし、殆ど使ってないのが現実ですから。 「さてと、お母さんが全部調べてみた感想から言えば、合格した椅子は之と是れとこれね。あとは全部、今のあなたに合っていないから駄目よ。この中から、一番気に入った物を選びなさい。あなたの好きなのを買って上げるから。良く見て選ぶのよ。センスを疑われないようにね。姿勢も大切なセンスの一つだと言うことを忘れないで、坐ったら最もシャキッとする椅子が良いのよね。勉強に集中しやすいから有利だからね。」 こうした内容と心のこもった会話を通して、選び方のポイントを指導しておくと、何事にも応用を利かせて良いものを選ぶ力が育ちます。 出来たら椅子を先に選んで、それを基準として机を選ぶのが利口なやり方です。 机のポイントはとにかく高さです。深くシャキッと着坐して、お臍から指3本の高さが理想です。パソコンには高すぎます。因みにパソコンの適正高はキーボード面がお臍の処です。逆にパソコン用を勉強用にすると、低すぎて姿勢をかがめるので不適正です。 美しい姿勢と魂を培うのは親の愛情であり責任です。その子の身体環境が適正か否かです。何でもない椅子が体癖を形成し姿勢を左右すると言うことを深く御理解下さい。発育期であれば当然数年で不適正となりますから、その事を念頭に置いて選ぶべきです。その子の大切な人生を為す姿勢です。椅子ぐらいで不具合な姿勢にしなくて済み、悪い体癖が解消出来るのであれば、実に簡単なことだと思います。「理想的な椅子の条件」を参考にして御一考下さい。大切なあなたのお子さんのために。
以上